君の笑顔で世界がやばい

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百鬼オペラ「羅生門」初観劇@シアターコクーン

行ってきました、百鬼オペラ「羅生門

本当は、私の初日は9月23日の予定だったのですが、

演じる吉沢さんがみたい気持ちが収まりきらなくなり一週間前に行くことを決意。

初日の次の日にはなりましたが、無事観劇することができました。

 

ここからは到着するまでのひと悶着なので読み飛ばしてください。

福岡空港へ向かう途中、大宰府で事故渋滞に巻き込まれ、予約していたpeachに乗れず...

急きょジェットスターを購入、時間がぎりぎりだったためスカイライナーで移動。金飛びまくり。泣ける。

 

開演10分前に到着となるも、プレゼント出せたしグッズも幕間に買えたのでよしとしましょう。

さぁいざ観劇。以下は個人的な感想と解釈になります。吉沢さんのことがもちろん多めです。

 

 

全体的な舞台演出に関して

 2列目の端から2番目の席のためどうしても見切れるところがあったけれど、足音すらきこえる席で観劇できてよかった!!!

 ステージの奥行が実際よりもかなり広く感じる。特に羅生門が近くにあるような....遠くにあるような....そこから異世界に見えました。

 鳥の妖怪??すごく不気味でした、そして人の体で鳥の動きを再現するとあんなことになるのだなという....胸筋の動きすごい....人の体って不思議だなと。 

 最初、舞台上のいろいろなところに穴が開いていなんて知らなったから、ほかの演者に気を取られているうちに柄本さんが消えていてびっくりした。

 音がとにかくすべて心地よかった、音響と生演奏の使い分けも遠近感があって面白かったな~

 ただ、演奏するだけでなく舞台芸術の一つとして舞台上にいるミュージシャンの方々すごい。ウォッシュボードってあんなにいろんな音が出るんだね。

 あと、アコーディオンの方が二人で宙づりになるところで一つのスカートを共有してくるくる回っているのがとてもかわいくてファンタジックでツボでした。

 

メイン3名以外の演者さんについて

 死体の山がTHEコンテンポラリーダンスという感じ、きれいで怖い。原爆の絵をなんとなく思い出しました。一つの生き物のような...有象無象...怖かったな...

 石?百鬼??かわいかった笑 これと「鼻」のシーンの花はNHKっぽさを感じました。上手く説明できないけど。動きがみなさんとてもコミカルでかわいらしかったです。

 銀粉蝶さん貫禄が違う。安心感、安定感。母の役がとてもいいキャラでしたね。あそこのシーンは母親にとらわれている芥川自身の為人をオマージュしているそうですが。

 

柄本裕さんについて

 サラっと下人の役をこなす柄本さん。すごい。なんかどの役をされていても腑に落ちるんですよね。

 藪の中のシーンで下人と多襄丸を短いスパンで切り替えて演じる柄本さん、自然すぎて驚きました。多襄丸のいやらしい笑いかた、欲に忠実な感じがとても色っぽかったです。

 

満島ひかりさんについて

 私はもともと映画「悪人」で満島さんの演技に惚れていて。あの何とも言えない目が、世界観が大好きです。彼女の演技を生で観るのは今回が初めてでした。

 宙づりで舞い歌う満島ひかりさん...非現実的でふわふわと消えていってしまいそうだった。よくわからないけど泣きそうだった。最初のシーンではこの死人の女のことがよくわからなくてセリフの意味もわからず「?」って感じではあったんですけど、強くて美しい魂を感じられました。あと、勝手に老婆を満島さんだと思い込んでみていたので死体の山から急に顔が出てきたとき、結構びっくりしました笑

 藪の中での満島さんはよくも悪くも、強かな女。赤いドレスがとても似合っていました。シルエットすら美しかったです。会話からダンスへの移行がとてもスマートで、踊り方がなんというか自然なんですよね。

 蜘蛛の糸で上から糸を垂らす姿、本当に菩薩様のようでしたね。満島さんの歌は、すーっと耳に入ってくる音って感じ、歌じゃなくて自然な音。吉沢さんこれとハモるってすごいプレッシャーだっただろうな笑

 ラスト、羅生門の死人の女に戻った満島さんの、様々な不条理なものへの怒りを表現した包丁をたたきつけるシーン、完全にあちら側に連れていかれてしまいました。

 

吉沢亮さんについて

 中盤くらいから出てくる吉沢さん。武弘は縛られているから、顔(というか目)と息遣いで演技をされていてすごかった...舞台だから、オーバー気味にはなるんだろうけど、命がけだということが演技から感じられました。

 幕間語、ここからが吉沢さんにとって本番。ソロ歌唱シーンがあるということは、きいていたけれど、私が緊張して生きた心地がしなかったです。(何でだ)

 最終的に一人になり、裏切られ、もはや清々しいような表情で歌う武弘。きっと不器用だけど、実直に生きてきたんだろうなとか、真砂の言う通り「普通の夫婦」だった男の運のなさ、不条理さを感じられて涙が出た。「俺の心もこのナイフのように刃こぼれ一つない」みたいなセリフ(曖昧)をいう時の泣くような、絞るような声と目が忘れられません。自害をし、帽子に手を伸ばす武弘、彼には何が見えていたのだろう?あの帽子は彼にとって何だったのだろう?死に行く武弘をみながら、吉沢さんは死ぬときこんな声を出し、こんな顔をするのだろうか。そんなことをつらつらと考えながら、はらはらと泣いてしまった。血に見立てた花吹雪が照明の光できらきらとして光線のようにすら見えました。

 吉沢さんはもともとそれなりに歌える人だけど、舞台歌唱は全然違うものだから稽古大変だっただろうなぁ...ブロードウェイミュージカル好きなわりにファンから「ミュージカルでてほしい!」と言われると難色を示していた吉沢さん、自信がなかったのでしょうね。その吉沢さんがパンフレットでミュージカルにも出たいって言っていたことがとてもうれしい。

 主人役の吉沢さんはとてもかわいらしかったです笑 なんというか小物感がすごい。

かご?馬車?みたいな奴はスマートにもっと動かせるようになってほしいかなぁ

 

 どちらの役も「強さ」を感じられるというより「弱さ」を感じられる役で、それが新しい表現の世界に足を踏み入れたばかりの吉沢さん自身を表しているようで。本当にいい舞台、役に選んでいただけたな、と。吉沢さんの未来をこれからを応援したいと思える舞台でした。

 

 観劇されていない方はなんのこっちゃという感じの感想文になってしまいましたが、まだ観ていない方はぜひ機会をつくって観劇してください。吉沢さんのファンの方はもちろんですが、いろんな方にみていただきたい。表現ってこんなに幅広いのだということを知ってほしい。あとただただ美しいので難しそうという方もきれいな絵をみる感覚で、ぜひ。